このLessonでは第5文型(SVOC)について学びます。この第5文型というのは最も複雑で難しいとよく言われるのですが、実はそんなに難しいものではありません。まず、大きく分けて2つのパターンがあるということをあらかじめ知っておくとよいでしょう。
① SVOC ⇒ OとCの間には【イコール関係】
② SVOC ⇒ OとCの間には【SV関係】
【SV関係】という新しい関係が出てきましたが、さほど慌てることはありません。まずは①の【イコール関係】からお話しますね。
OとCの間には【イコール関係】
SVOCの文型でOとCの間に【イコール関係】がある場合、英文の意味は次のようになるのが基本系です。
「SはO=C (の状態) にする」
以下の文を見てみましょう。
She made me happy.
SheはS、madeはVです。その後のmeはSheとイコール関係ではないからO。そしてその後のhappyはmeとイコール関係だからCです。
そして日本語訳は「彼女は私を幸せにした」です。
もともとmakeには「作る」という意味があるのに、それがなぜ「O=Cにする」という意味になるのか、疑問に思う人も多いと思います。自分が英語を勉強し始めた頃を思い出すとそうでした。で、実際にはやはりmakeは「作る」という意味でいいのです。ただし、作るのは【状態】や【状況】です。
イメージは以下の感じです。
そしてその状態の中にO=Cが入っている感じです。
そこから「彼女は私を幸せにした」という意味になるのです。
OとCの間には【SV関係】
同じように、makeを使った英文で以下のようなものもあります。
She made me study.
この文でも上と同じようなことが言えます。
どんな状況を作ったのかというと、「私が勉強する」という状況を作ったのです。
誰かに何かをさせる状況を作る感じから、「使役動詞」なんて呼ばれたりもします。
そして「彼女は私に勉強させた」という意味になります。
使役動詞
さて、先ほどmakeという「使役動詞」についてお話しましたが、それ以外にも使役動詞と呼ばれるものがあります。代表的なものがhave, get, そしてletです。makeも含めてそれぞれについて見ていきましょう。
make
makeは先ほどお話したように、「O=Cの状態にする」という意味になりました。そしてCの所にくる形がいくつかあります。
Cが形容詞のとき
She made me happy. 「彼女は私を幸せにした」
happyは形容詞ですね。
Cがdo(原形動詞)のとき
She made me study.「彼女は私に勉強させた」
studyを原形動詞(動詞の元の形)といいます。
Cが過去分詞(p.p.)のとき
過去分詞というのはここではとりあえず「受身文の時の形」と思ってください。受身文というのは「~された」のように言いたいときに使う言葉です。たとえば、
Tom was surprised. 「Tomは驚かされた」
のような文です。(be動詞+~edの形)
さて、Tom was surprised.という文は、Tom = surprisedというイコール関係が成り立っていますね。(つまりSVCの第2文型です)
では、その前にShe made をつけてみるとどうでしょう?
そこからShe made Tom surprised. は「彼女はTomを驚かせた」という意味になります。
have
haveには「持つ」だけでなく「食べる」や「飼う」など様々な意味があります。その中でhaveには「使役動詞」の意味があります。have O C で「O=Cの状態にする」という意味になります。けれど、makeは「無理やり」という感じなのですが、haveはあまり無理やり感はありません。どちらかというと、「~してもらう」の意味合いの方が強いです。
Cがdo(原形動詞)のとき
次の文の意味はどうなるでしょう?
I had my son call the office.
このhadは使役動詞と呼ばれるもので、「O=Cの状態にしてもらう」となります。また、callは原形動詞と呼ばれるものです。
そしてhaveには無理やり感はあまりなく、「~してもらう」の意味合いの方が強いので、「私は息子に会社に電話してもらった」という意味になります。
Cがp.p.(過去分詞)のとき
過去分詞はbe動詞+p.p.の形で受身文になり、「~される」という意味になります。
My hair is cut.「私の髪の毛が切られる」
このとき、My hair (私の髪の毛) とcut (切られた)にはイコール関係が成り立ちます。
その前にhaveをつけると
I had my hair cut.という文ができますが
そこからI had my hair cut.は「私は髪の毛を切ってもらった」となります。
あと、このhave O CでCの所にp.p.がくるときで大切なのが次の文のパターンの時です。
I had my wallet stolen.
stolenはsteal (盗む) の過去分詞で、受身文での意味は「盗まれた」です。けれど、この文のhadは「してもらう」はおかしいですよね?(盗んでもらいたくない!)
実はhave O C の形は【被害】を表現するときにも使われるのです。
I had my wallet stolen.で「私は財布を盗まれた」となります。
get
getには「得る」などの意味がありますが、使役動詞の意味合いもあります。これまでと違って動詞の後ろの形が少し違うことに気を付けてください。getの後ろにdo (原形動詞) の形はきません。
Cがto doのとき
makeやhaveほど使役の意味合いは強くありません。get O to doで、「O (人) を説得して~してもらう」という感じです。
たとえば次のような英文
I got him to help me with homework.
helpではなくto helpの形になっていることに注意してください。
※ help 人 with A 「人のAを手伝う」
そこで I got him to help me with homework. は「私は彼に宿題を手伝ってもらった」という意味になります。
Cがp.p.(過去分詞)のとき
get O C のCの部分にp.p. (過去分詞) がくることもあります。先ほどお話したように、過去分詞は受身文のときに使われる形です。
たとえば
My computer was fixed. 「私のコンピュータは修理された」
この文でもMy computer = fixedの関係が成り立ちます。
それにI gotをつけるとI got my computer fixed. という文が出来上がります。
そこで I got my computer fixed.は「私はコンピュータを修理してもらった」となります。
let
letは使役動詞と呼ばれるものではありますが、無理やり感は全くなく、むしろ【許可】のニュアンスになります。たとえば人が何かをしたがっているときに「させてあげる」という感じになります。
Cが形容詞のとき
let O CのCの部分に形容詞がくることがあります。
Let me alone.
これは「me(私)=alone(一人の状態)にする」ということから「私を一人にして」という意味になります。
Cが原形動詞のとき
Cの所にはdo (原形動詞)がくることもあります。
例えば次の文
Mother let her children play.
letは【許可】を表し、「~させてあげる」という意味ですから、
「母親は子供に遊ばせてあげた」となります。
なお、let O C のCの所にくる形はdo (原形動詞) しかありません。
たとえばみなさんは、Let’s go!という英語は知っていると思います。あれ、letを使った使役動詞です。
Let’s はLet us の短縮形で、その後ろはgoという原形動詞なのです。そしてLet’s go!と言っても、Let’s going!やLet’s to go!, Let’s gone! なんて言わないでしょう。let O C の Cの所にくる形を忘れてしまいそうになったらLet’s go!を思い出してください。
まとめ
今回は第5文型(SVOC)の中でも使役動詞というものについてお話しました。
make O C「O=Cの状態にする」or「OがCする状態にする」
have O C「O=Cの状態にしてもらう」「OがCする状態にしてもらう」
get O C「O=Cの状態にしてもらう」
let O C「O=Cの状態にしてあげる」「OがCするのを許可する」
さらにそれぞれの動詞の後ろにくる形も重要でした。
make O C (Cには形容詞, do ~, p.p.)
have O C(Cにはdo ~, p.p.)
get O C(Cにはto do ~, p.p.)
let O C(Cには形容詞, do ~)
形をしっかりと覚えておくことも重要です。丁寧に覚えていってください。
Question
使役動詞を使った英語の練習問題をしてみたいと思います。まず、次の日本語を英語に訳してみます。
「彼が入院したって聞いたんですが、残念ながら私は出張ですぐにはお見舞いに行けません。代わりに彼女にお見舞いに行かせます。」
I heard he was hospitalized, but unfortunately, I can’t visit him right away to a business trip.
So, I’ll ( ) her visit him.
問題は( )の中に入る使役動詞はどれかということです。「お見舞いに行く」はvisit him (in hospital) と言います。
さて、( )の中には何が入るでしょうか。
So, I’ll ( ) her visit him.
① make ② have ③ get ④ let
( )の後ろの形を見てみると、her visit himです。her to visit himとはなっていないですね?get は get O C のCにdo ~(原形動詞)はきません(to do ~がくる)。だから③ get は×。
その他の動詞は全てCの部分にdo ~(原形動詞)がきますから、文法的にはどれもOKです。けれど、makeを使ってこの英語を言われた相手はどう思うでしょうか?makeは【強制】ですから次のようなニュアンスで相手に伝わってしまいます。
I’ll make her visit him.
「(彼女は嫌がっているけど、強制的に)彼女にお見舞いに行かせます」
なんか、無理やりだったら来てもらわなくてもいいし、むしろ来てほしくないですね。
そこで
I’ll let her visit him. はどうでしょう?
「(彼女が行きたいって言ってるから)彼女にお見舞いに行かせます」
これなら相手は彼女が心配して、自ら進んでお見舞いに来てくれようとしているのがわかりますから、うれしいですよね。
なお、haveはこの文脈では使われないと思ってください。というのは確かにhave O C で「OにCしてもらう」という意味はありますが、多くの場合、「上下関係を利用してOにCをやってもらう」だとか、「お金を渡してO(プロ)にCをしてもらう」という意味になるからです。
たとえば
I had my hair cut.
「私は髪の毛を切ってもらった」という意味ですが、普通は美容師や理容師(プロ)に髪の毛を切ってもらうでしょう?
have が使役動詞の場合は「プロの人にやってもらったり、上下関係を利用してやってもらう」という感じになってしまいます。
このように、どんな使役動詞を使うかで相手に伝わるニュアンスも大きく違ってきます。また、使役動詞といっても、letを使うと相手を思いやる気持ちを表すこともできるということです。