動詞の語法はとても大切です。動詞の語法とは、主に「動詞の後ろはどんな形がくるか」という知識です。文法の問題を解くときにも英文を読むときにも重要な知識になります。1つ1つの英単語を覚えるのと同じぐらいのエネルギーで覚えていってもらいたいです。
けれど、動詞は英語にも日本語にも無数にあります。そしてそれを全て覚えるのには無理があります。例えば動詞の中には後ろに doing 〜 の形がくるものと、to do 〜 の形がくるものがあります。少しコツを知っていれば、必ずしも全て覚える必要はなくなります。今回はそれについてお話しします。
to do 〜 と doing 〜 の違い
動詞の後ろに to do 〜 がくる場合と doing 〜 がくる場合の違いを見てみましょう。remember という動詞は後ろに to do 〜 も doing 〜 も両方くることがあります。
I remember to meet him.
I remember meeting him.
さて、上の2つの英文はどういう意味の違いがあるのでしょうか。
I remember to meet him.「私は(これから)彼に会うことを覚えている」
I remember meeting him.「私は(以前に)彼に会ったことを覚えている」
to do 〜 は「これから〜する」,doing は「過去に〜する」というイメージになっているのに気がついたでしょうか。一般的にV(動詞)の後ろに to do 〜 がきたら【これからのこと】,doing 〜 がきたら【過去のこと】というイメージを持ってもらえるといいです。
to do 〜 のイメージ
さて、先ほどお話ししたように、to do 〜 は【これからのこと】というイメージがあるのですが、なぜそういうイメージがあるのでしょう。実は to do 〜 は I go to school. の to と同じなのです。もちろん後ろに来るのは名詞か原形動詞かという違いはありますが、元は同じものだったのです。
「〜する」方向へ向かっているイメージを持つことができれば「これから〜する」というイメージも持てると思います。
例えば、hope は「望む/希望する」という意味ですが、「望む」とは「まだやっていないこと」を望むわけですから hope の後ろは to do 〜 がきます。decide は「決める」という意味ですが、これも「まだやっていないこと」を決めるわけですから decide の後ろも to do 〜 がきます。
doing 〜 のイメージ
to do 〜 が【これからのこと】を表すのに対して、doing 〜 は【過去のこと】を表すと最初にお話ししました。(けれども本当にそうでしょうか)
まず、次の英文に入る単語はどれでしょう。
(1)I will quit ( ) for my health.「健康のためにタバコを吸うことをやめる」
① to smoke ② smoking
答えは smoking です。
quit「やめる」は「これまでにやってきたことをやめる」という意味ですから、後ろに来るのは doing 〜 の形です。quit doing 〜 で「〜するのをやめる」となります。
では、次の英文に入る単語はどれでしょう。
(2)Would you mind ( ) the door?
① to open ② opening
mind は「気にする/嫌がる」という意味です。「ドアを開けるのは嫌ですか?」つまり「ドアを開けてくれませんか?」という意味になります。実は答えは ② opening になります。ドアはまだ開けていないにも関わらず、どうして doing 〜 となるのでしょう。
doing 〜 が過去のことを表す理由
doing 〜 は【動名詞】でした。そして【動名詞】は、動詞を名詞にしたものでした。
「動詞を名詞にする」とはどういうことでしょうか。
「動詞」は動作を表すもの。それが名詞になるということは【モノの名前になる】→【目に見える形になる】→【具体的な形になる】ということ。時の流れの中で考えてみると、時間には【過去】【現在】【未来】とありますが、「具体的なもの」というのは【過去】と【現在】の両方なのです。
「そのドアを開けてくれませんか?」というのは「目の前のドアを開けてくれませんか」と指で具体的に指し示すことができます。具体的なことなので mind の後ろには doing 〜 がくるのです。
to do 〜 は【これからのこと】,doing 〜 は【過去のこと】を表すといいました。けれど、時間の流れは【未来】と【過去】だけでしょうか。そう、【現在】だって時間の流れを表します。そして【現在のこと】は【具体的】なので doing 〜 で表します。
to do 〜 と doing 〜 の表現のまとめ
Vの後ろに【to do 〜】か【doing 〜】で意味が異なるもの
remember to do 〜「(これから)〜するのを覚えておく」
remember to do 〜「(過去に)〜したことを覚えている」
forget to do 〜「(これから)〜するのを忘れる」
forget doing 〜「(過去に)〜したことを忘れる」
regret to do 〜「残念ながら(これから)〜する」
regret doing 〜「(過去に)〜したことを残念に思う」
Vの後ろは to do 〜
decide to do 〜「(これから)〜することを決める」
expect to do 〜「(これから)〜するつもりである」
hope to do 〜「(これから)〜することを望む」
wish to do 〜「(これから)〜することを望む」
promise to do 〜「(これから)〜することを約束する」
refuse to do 〜「(これから)〜するのを断る」
offer to do 〜「(これから)〜することを申し出る」
manage to do 〜「どうにかして〜する」
pretend to do 〜「〜するふりをする」
afford to do 〜「〜する余裕がある」
Vの後ろは doing 〜
enjoy doing 〜「〜するのを楽しむ」
admit doing 〜「〜したのを認める」
deny doing 〜「〜したことを否定する」
appreciate doing 〜「〜したことに感謝する」
consider doing 〜「〜することを考える」
stop doing 〜「(これまでやってきた)〜をやめる」
quit doing 〜「(これまでやってきた)〜をやめる」
finish doing 〜「〜し終える」
give up doing 〜「〜してきたのを諦める」
mind doing 〜「〜するのを気にする」
postpone doing 〜「〜するのを延期する(=put off)」
escape doing 〜「〜するのを逃れる」
miss doing 〜「〜し損なう」
imagine doing 〜「〜するのを想像する」
risk doing 〜「〜する危険を冒す」
practice doing 〜「〜するのを練習する」
resist doing 〜「〜するのを我慢する」
to do 〜 ではなく to doing 〜 (to は前置詞)
object to doing 〜「〜するのに反対する」
be opposed to doing 〜「〜するのに反対する」
be accustomed to doing 〜「〜するのに慣れている」
look forward to doing 〜「〜するのを楽しみにしている」