名詞用法から副詞用法へ(循環構文 / 通称 “タフ構文”)
形容詞の中には特徴的なものがあります。easy (簡単),difficult (難しい)といった【難易】を表す形容詞やpossible (可能), impossible (不可能)といった【可能性】を表す形容詞は人を主語にしません。また、通常 it を主語にします。
たとえば You are easy. (君は簡単だね)や You are impossible. (君は不可能だ)なんて言われたらムカつきますよね?だから「あなたがこの本を読むのは簡単だ」という時、You are easy to read this book. などとしてはいけないのです。
こういう時にはまず It is easy(それは簡単だ)と言い、その後に for you to read this book(あなたがこの本を読むのは)と言います。最初の It は形式主語といいます。2つ合わせて It is easy for you to read this book. で完成です。なお、It が指すものは for you to read this book のカタマリで、(for you) to read this book は【名詞用法】ということになります。
けれど、easyは基本的に it を主語にするといっても、「この本は簡単だよ!」と言いたいときだってあります。そしてもちろん This book is easy. ということはできます。ただし、この場合、最初の This book は元々どこにあったのか、ということです。It is easy for you to read this book. の this book を前に持ってきたわけですから、This book is easy for you to read. となり、readの後ろのthis bookは書いてはダメということになります。
なお、for you to read のカタマリはeasy という言葉(形容詞)に意味がつながるので【副詞用法】ということになります。
疑問詞 + to do 〜
疑問文の時に使う言葉を疑問詞といいます。例えば「何?」,「どれ?」,「いつ?」,「どこ?」,「どのように?」などです。そうした言葉にto do をつけて、what to do 「何をすべきか」,which to choose 「どちらを選ぶか」,when to go 「いつ行くべきか」,where to go 「どこに行くべきか」,how to use it 「どのようにそれを使うか」と表現します。
元の文はこんな感じです。
I don’t know what I should do. 「私は私が何をすべきかわからない」
けれど「私は」「私が」と2回も言わなくてもいいじゃないということで、後ろの I を省略します。
けれど I だけを省略すると I don’t know what should do. となって、do の主語がないじゃないかということになるのです。そこで、主語の I 省略したということと、後ろの do がそのままではV(動詞)になってしまうので、本当の動詞じゃないようにするために to をつけるのです。そして出来上がった文は
I don’t know what to do.
となるのです。
when やwhere 、そしてhow も同じように考えます。
元の文は例えば I don’t know where I should go.「私は私がどこに行くべきかわからない」という文があったとしましょう。今回も「私は」「私が」と2回も言わなくてもいいじゃないということで、後ろの I を省略します。
そして後ろの go がそのままではV(動詞)になってしまうので、本当の動詞じゃないようにするために to をつけるのでした。そして出来上がった文は
I don’t know where to go.
となるのです。
時制のズレ(完了不定詞)
『時制のズレ』というタイトルは2回目です。Lesson11の分詞構文でお話しして以来です。同じタイトルということは、同じ考え方だということですので、できればもう一度Lesson 11も見直しておいてください。
まずは例文です。「彼は病気であるように見える」を英語にします。
「S がVするように見える」は It seems that S V というフレーズで表現し、「彼は病気である」は he is ill と表現します。2つ合わせて
It seems that he is ill. 「彼は病気であるように見える」
なお、この文は「思える」のは【今】のこと、「病気」なのも【今】のことですね。だからこれはタイトルにあるような【時制のズレ】ではありません。
ところで、「彼は病気であるように見える」という日本語の英語訳を作るとき、「彼は」が主語で、「見える」を動詞として考えることはできないでしょうか。つまり、
He seems… とすることはできないかということです。→ できるんです!
ただし、元の文が It seems that he is ill. で、Heは元々後ろにあったものです。だから He seems の後ろの形は変わります。もしもHeだけを前に持ってきて、He seems is ill. とするとダメです。S V V C となるからです。後ろの is は動詞にできないので、isの前にto をつけてto be にし、本当の動詞じゃないようにしておかなければなりません。
to 不定詞の否定
to do 〜 は「〜すること」という意味になりますが、「〜しないこと」と言うこともできます。その場合には必ず【to do 〜】の前に not をつけます。
I asked him to go there.「私は彼にそこに行くよう頼んだ」
I asked him not to go there.「私は彼にそこに行かないよう頼んだ」