Lesson13 不定詞 ①(不定詞の3用法)

もともと動詞だったけれど、本当の動詞じゃなくなったものを【準動詞】といいます。そんな【準動詞】には、【分詞】, 【不定詞】, 【動名詞】の3つがあります。今回はその中の【不定詞】についてのお話です。

不定詞の3つの基本用法

不定詞というのは基本的には動詞の原形(元の形)と思ってもらってかまいません。で、【to 不定詞】というのは【to + 動詞の原形】のことです。toのような余分なものが付いたら本当の動詞じゃなくなるのです。では、何になるにかというと、to do 〜 のカタマリが

①【名詞】になる
②【形容詞】になる
③【副詞】になる

ということです。それぞれ

①【名詞】になる →【名詞用法】
②【形容詞】になる →【形容詞用法】
③【副詞】になる →【副詞用法】

と呼ばれています。不定詞にはこの3つの用法しかないので、一つ一つ理解していけば不定詞は万全になります。

名詞用法

名詞用法とは、動詞にto をつけて【名詞】にしたものです。動詞は「〜する/〜である」という意味になりますが、それを名詞にすると「〜すること/〜であること」という意味になります。つまり、動詞を名詞のカタマリにしたものを【名詞用法】と呼びます。

【名詞のカタマリ】になるということは、【to do ~ 】のカタマリがSOCのどれかになるということです。

たとえばTo read this book is easy.「この本を読むことは簡単だ」という英文を考えてみましょう。最初の[To read this book]が名詞のカタマリになっています。その後のisがV(動詞)で、easyがC(補語)になっています。つまりSVCの第2文型です。

ここで注意してほしいことがあります。おそらく多くの人は最初のTo read this bookは「この本を読むこと」と訳すから名詞用法、と考えるのではないでしょうか。けれど、それは中学レベルまでの話で、高校や大学受験レベルでは、意味で考えると間違えるということがたくさん出てきます。中学レベルを超えるためにはまず形から考えるというクセをつけておいてほしいのです。

まず、To read this book のカタマリはこの段階では何用法かはわかりません。(To read this book, you should study harder.となったらTo read this book は【副詞用法】です)とりあえずこのカタマリは「この本を読む」としておいて、次にisが見えたら、それはV(動詞)ですから、その前にあるのはS(主語)、そしてSになれるのは名詞。だからTo read this book のカタマリは【名詞のカタマリ】つまり【名詞用法】と認識します。あくまでも文型のチェックをしたうえで、その【to do ~】のカタマリがSOCのどれかになっているなら名詞用法、としてください。

形式主語構文(仮主語構文)

次に形式主語構文というのを学びます。これは主語が長い時にとりあえずIt(それ)として、後で詳しく主語の内容を言う、というものです。

To read this book is easy.「この本を読むことは簡単です」と話すとき、「この本を読むことは」が長いと感じたら、先にとりあえず「それは簡単です」といったん言うのです。

It is easy…「それは簡単です」

でも、聞いている方は「それって何?」となるのでその後ろでto read this book「この本を読むこと」と言う感じです。

意味上の主語 ①

不定詞はもともと動詞なら、それに対する主語もあったはず。そんな「動詞のもともとの主語」のことを【意味上の主語】といいます。英語は S V の形なので、to do のもともとの主語も to do の前におきます。

その際、そのままの形で名詞だけ書いたら、その段階でSOCのどれかになってしまうので、for という前置詞をつけて本当のSVOCにならないようにしてやります。

例えば「あなたがこの本を読むのは簡単だ」というときには

It is easy for you to read this book.

のように言います。

for you はもともとto read this book の 主語なので、「あなた」と訳します。(「あなたにとって」と訳さないように注意しましょう!)

for youを「あなたにとって」と訳してはいけない理由

よくfor you to do…を「あなたにとって…することは」という訳をする人を見かけます。一見すると大丈夫なように見えますし、意味の違いはないじゃないかと思うかもしれませんが、「~にとって」と訳してしまうと必ずしもそれがto do…の主語を表すわけではないことも知っておいてもらいたいです。

たとえば「あなたにとって試験に合格することは幸せなことだ」という文があったとします。この文の「試験に合格する」の意味上の主語は誰でしょう?もちろん「あなた」です。けれど、これが親目線の文章だったら次のような文章も出来上がるかもしれません。

「あなたにとって、自分の子供試験に合格することは幸せなことだ」

こうなると、試験に合格するのは「自分の子供」になりますね。つまり、「○○にとって」とするとそれが必ずしも主語になるわけではないということなのです。よく試験などで減点されるのはそのためです。for you to do…とあれば必ず「あなた…する」と訳しましょう。

意味上の主語 ②

to do… の意味上の主語の前には for をつけるのですが、時として「人が〜するのは親切だ」のように人の性質を表現するというときがあります。そんな時には【for 人】ではなくて 【of 人】を使います。

見抜くコツはkindは「親切だ」という意味ですが、後ろのyouとイコール関係が成り立ちますね(you = kind)

けれど、It is easy for you to read this book.の場合、easyとyouの間にイコール関係は成り立ちません(you ≠easy)

形式目的語構文(仮目的語構文)

形式主語構文というのは、主語が長い時にとりあえずIt(それ)として、後で詳しく主語の内容を言う、というものでした。今回の形式目的語構文とは、目的語が長い時にとりあえず it(それ)として、後で詳しく目的語の内容を言う、というものです。

形容詞用法

形容詞用法とは、動詞にto をつけて【形容詞】にしたものです。動詞は「〜する/〜である」という意味になりますが、それを名詞を修飾する(名詞に意味がつながる)形容詞にすると「〜する(ための/ような)名詞」となります。つまり、「〜する」という動詞のかたまりが名詞を修飾するものを【形容詞用法】と呼びます。

形容詞用法の成り立ち

形容詞用法はもともと2つの文があって、それがくっついたのですが、どのような過程で出来上がった文なのでしょうか。以下、その成り立ちについてまとめてみました。

which に関しては関係代名詞の解説で詳しく述べたいと思いますが、とりあえずwhich は「それ」という意味で、前の名詞を説明するものと思っておいてください。

それぞれdrink やwrite にto をつけているのは、つけていなければ動詞と思われて、S V O Vとなってしまうからです。本当の動詞じゃないようにするためにtoをつけているんですね。

副詞用法

副詞用法とは、動詞にto をつけて【副詞】にしたものです。副詞とは、名詞以外に意味がつながるのでした。

副詞用法の日本語訳はたくさんあります。【①目的,②感情の原因,③判断の根拠,…】などなど。しかし、1つ1つを正確に覚えていて「これは①目的だ!」なんて考える人は少なくとも英語ができると言われる人にはいないでしょう。S V to do〜 のtoの前後でそれぞれ訳してみて、SVの方につなげる時に『カッコいい訳』になるようにつなげれば、自然ときれいな訳になり、意味もきれいに通ります。to do 〜のかたまりをどうつなげたらカッコいいかで決めましょう。

まとめ

不定詞をしっかりと理解するためには文法的に考えるということが必要です。「〜すること」と訳すから名詞用法,のように考えると文法問題が解けなかったり,読解で読み間違えたりする可能性が出てきます。最初のうちは丁寧に文法的に考えて理解を進めていきましょう。

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