たまに授業で言います。「分詞の問題なんて2秒で解ける!」と。最初は「そんなの無理!」と思っていた生徒さんが、本当に2秒(もかからない)で解けるようになるのを何度も見てきました。そしてそのような生徒さんはこうしたところで自信をつけてくれるようです。みなさんにも1つずつでいいから自信をつけてもらえたら嬉しいです。まずはしっかりと下準備をしてからテクニックをお話しします。
受身文の復習
分詞は受動態(受身文)と深い関わりがあります。まずは「受身文とは何か」を思い出してください。
受身文とは、目的語を主語にした文のこと(→ Lesson 9 受動態)
たとえば「みんなが彼女のことを愛している」を英語にすると
Everyone loves her.
となります。
それを受身文にすると
She is loved by everyone.
となります。
受身文は必ず【be +p.p.】の形になりましたね。
ここで注意してもらいたいのが、is loved の後ろに目的語がなくなっているということです。(前置詞+名詞はSVOCにならない!)
「〜を」が必要な動詞(他動詞)は受身の形になっている場合は後ろに目的語がないということをしっかりと頭の中に入れておいてください。
また、受身文は動詞の目的語を主語にした文ですから、基本的に目的語(〜を)がいらない動詞(自動詞)には受身文の形はないと思ってください。
分詞の問題を解くテクニック
さて、基本をしっかりと確認した後、問題を即答するテクニックを。
まずは次の問題を解いてみてください。
1. All things( ), he must have done it.
① considering ② considered
2. ( )the way he talked, he must have told a lie to me.
① Considering ② Considered
それぞれの問題で選択肢にあるのはconsider という単語です。consider は「(よく)考える」という意味ですが、「〜を」という言葉は必要でしょうか。
「考える」だけでは「何を?」となりますね。つまり、「〜を」(目的語)が必要な動詞です。こういう動詞を他動詞といいました。
さて、1. の問題ですが、( )の後ろに目的語があるでしょうか。目的語になれるのは名詞でしたが、空所の後ろにはコンマ(, )があるだけで( )の目的語はありません。
目的語があるはずなのに、なぜ目的語がないのでしょう?
それは、( )の中に入るのが目的語を主語にした時の受身の形(p.p.)になっているからなのです。
受身文の形なら、目的語を主語にしたのですから後ろに目的語がないのは当然ですね。
つまり、1の答えは② considered です。
次に2. の問題です。今回は( )の後ろに「〜を」という目的語があるでしょうか。
the way(方法)がありますね。ということは受身の形にはできないよ、ということです。答えは① Considering です。
( )にingまたはp.p.を入れる問題で、選択肢の動詞が他動詞のとき
他動詞の後ろに目的語がある → doing
ない → p.p.
次に、自動詞の場合を見てみましょう。
まずは次の問題を解いてみてください。
She kept me ( ).
① waiting ② waited
keep は第5文型をとる動詞で、keep O C で「O = C の状態を保つ」が直訳です。要は「彼女は私を待たせた」という意味です。
さて、O と C の間にはイコール関係が成り立ちました(→第5文型)ので、「私」=「〇〇」としたいところです。
ところが「私」=「待っている」も「私」=「待たされている」も意味的には成り立つのではないでしょうか。
そこで( )に入る動詞が自動詞か他動詞かの判別が必要になってきます。
実はwaitは自動詞です。例えば「私は彼女を待つ」を英語にすると、
I wait for her.
となります。(I wait her.とは言わない!)
wait の後ろはfor herで、【前置詞+名詞】ですからSVOC にならない副詞です。
つまり、wait は目的語がない動詞なのです。目的語がない動詞ということは、受身文が作れない動詞だということです。受身文が作れないということは、受身の形(過去分詞)はないということです。だから、ここではingの形しかないのです。よって、ここでは① waitingが答えになります。
解法のテクニック
ここで、( )に入るのが ing か p.p. か、の問題についての解法をまとめておきます。
( )に入る動詞が
自動詞(目的語がない動詞)→ doing
他動詞(目的語が必要な動詞)→ 後ろに目的語(名詞)がある → doing
ない → p.p.
常に動詞は自動詞か他動詞か(「〜を」が必要な動詞か必要でない動詞か)を意識するといいでしょう。
問題演習
ここで分詞の問題を解くテクニックを完全にモノにしましょう!
【問題】次の英文の空所に入れるのに最も適切な語を選びなさい。
(1) He was the only person ( ) in the car accident.
① injure ② injuring ③ injured ④ being injured
(2) Please remain ( ) until the bus comes to a complete stop.
① seat ② to seat ③ seated ④ seating
(3) The amount of time ( ) on domestic tasks has not declined very much.
① spend ② spending ③ spent ④ to spend
(4) There must be something wrong with the car, so I’ll have it ( ).
① check ② checking ③ checked ④ to check
(5) The man was caught ( ) the money from her.
① stealing ② to steal ③ stolen ④ steal
(6) You will feel ( ) after taking a bath.
① refresh ② refreshed ③ refreshing ④ to refresh
(7) The man ( ) at the corner is my teacher.
① smoke ② smoking ③ smoked ④ to smoked
(8) I couldn’t make myself ( ) the idea.
① understand ② understood ③ to understand ④ understanding
(9) She visited him, ( ) that he would see her.
① believed ② being believed ③ believing ④ having been believed
(10) ( ) at the station, I found that the train had already gone.
① To be arrived ② Arrived ③ Arriving ④ Having been arrived
(11) He, deeply ( ), lived longer than the doctors expected.
① moving ② having moved ③ moved ④ to move
【解答解説】
(1) He was the only person ( ) in the car accident.
① injure ② injuring ③ injured ④ being injured
・injureは「傷つける」という意味(の他動詞)。「傷つける」だけだと「誰(何)を?」となりますね。つまり目的語が必要な動詞(他動詞)です。「~を」(目的語)が後ろにないので受身の形(p.p.)が入ります。よって答えは③ injured
(2) Please remain ( ) until the bus comes to a complete stop.
① seat ② to seat ③ seated ④ seating
・seatは「座らせる」という意味(の他動詞)。「~を」(目的語)が後ろにないので受身の形(p.p.)。よって答えは③ seated
(3) The amount of time ( ) on domestic tasks has not declined very much.
① spend ② spending ③ spent ④ to spend
・spendは「(時間やお金を)費やす」という意味(の他動詞)。「~を」(目的語)が後ろにないので受身の形(p.p.)。よって答えは③ spent
(4) There must be something wrong with the car, so I’ll have it ( ).
① check ② checking ③ checked ④ to check
・checkは「チェックする」という意味(の他動詞)。「~を」(目的語)が後ろにないので受身の形(p.p.)。よって答えは③ checked
(5) The man was caught ( ) the money from her.
① stealing ② to steal ③ stolen ④ steal
・stealは「盗む」という意味(の他動詞)。「~を」(目的語)が後ろにある!ので受身の形はダメ。~ingの形を選ぶ。よって答えは① stealing
※ be caught ~ing はもともと【catch 人 doing ~】で「人が~するのを目撃する」の意味のイディオム(熟語)。catchの後ろにdo(原形)ではなくdoing(現在分詞)がくるのは、「人が~しているのを目撃する」だから、人の瞬間の動作を表す ~ing がくる。
(6) You will feel ( ) after taking a bath.
① refresh ② refreshed ③ refreshing ④ to refresh
・refreshは「人をリフレッシュさせる」という意味の動詞。【感情を表す動詞】ということを思い出してください。
基本的に人とイコール関係になるときはp.p.の形でした。よって答えは② refreshed
(7) The man ( ) at the corner is my teacher.
① smoke ② smoking ③ smoked ④ to smoked
・smokeは「タバコを吸う」という意味で、その後に「~を」(目的語)はいらない動詞(自動詞)。また、後ろにisという動詞があるので( )の中に動詞を入れると動詞が2つあるのでダメ。よって② smoking が答え。
(8) I couldn’t make myself ( ) the idea.
① understand ② understood ③ to understand ④ understanding
・understandは「理解する」という意味(の他動詞)。「~を」(目的語)が後ろにある!ので受身の形はダメ。do(原形)を選ぶ。よって答えは① understand
※③ to understand や ④ understanding がダメな理由は、 makeの後ろにくるのはOCの形で、Cの所にくるのは原形動詞か過去分詞のどちらかでした。(→ Lesson 7 第5文型①)また、② understood を選ぶ人が多いのではないかと思うのですが、それは次のような英文を過去に暗記したことがあるからではないでしょうか?
I couldn’t make myself understood in English. 「私は英語を理解してもらえなかった」
この文はもちろん文法的に正しいです。しかしunderstoodの後ろをよく見てください。in English、つまり【前置詞+名詞】の形になっていて、「~を」(目的語)が後ろにないので受身の形(p.p.)になっているのです。今回は( )の後ろに名詞(目的語)があるので、原形動詞のunderstandを入れるわけです。なお、I couldn’t make myself understand English. は I couldn’t understand the idea. と言うのが普通で、今回は文法的な理解をしてもらうためにやや不自然な英語を問題にしました。
(9) She visited him, ( ) that he would see her.
① believed ② being believed ③ believing ④ having been believed
・believeは「信じる」という意味(の他動詞)。( )の後ろにはthat he would see her「彼は彼女に会うだろうということ」という名詞のカタマリ(名詞節)があり、「~を」(目的語)が後ろにある!ので受身の形はダメ。よって答えは③ believing
(10) ( ) at the station, I found that the train had already gone.
① To be arrived ② Arrived ③ Arriving ④ Having been arrived
・arriveは「到着する」という意味の自動詞。arrive at ~で「~に到着する」。目的語がいらない動詞なので、受身の形はない。よって③ Arrivingが答え。
(11) He, deeply ( ), lived longer than the doctors expected.
① moving ② having moved ③ moved ④ to move
・moveは通常「動かす」という意味の他動詞。ここでは「(人の心を)動かす → (人を)感動させる」という意味の他動詞。目的語が後ろにないので③ moved が答え。