前回Lesson10では分詞の基本的な内容についてお話しました。今回は分詞構文についてのお話です。分詞構文とは、簡単に言えば「分詞で始まる文」のことです。この分詞構文を使いこなせれば、スッキリとした英文を書けるようになりますし、将来的にはアカデミックライティングにも有効的に使えるようになります。
分詞構文とは
分詞構文とは、分詞で始まる文のことです。上でお話した通り、スッキリした英文を書けるようになります。
たとえば次の日本語を読んでどう感じますか?
「私はそのニュースを聞いた時、私は驚いた」
「私は」「私は」と2回も言う必要がありませんね。
「私はそのニュースを聞いて驚いた」
とした方がスッキリします。
そんな時に分詞構文という構文を使うというわけです。
分詞構文①(基本型)
次の日本語を英語に訳してみましょう。
「私はそのニュースを聞いた時、私は驚いた」
When I heard the news, I was surprised.
この時、I (私) は2回言う必要はありませんのでどちらか1つを省略します。けれどどちらの I を省略するのでしょうか。
Whenは文と文をつなぐ接続詞と呼ばれるもので、I heard the newsとI was surprisedという2つの文をつないでいます。そして<接続詞+SV>のカタマリを【従属節】,接続詞がついていないSVを【主節】といいます。
さて、【従属節】と【主節】では、どちらが大事な文でしょうか。
名前からわかると思うのですが、【主節】はメインの文ですから【主節】の方が大事な文(より伝えたい文)ということになります。だから省略はできません。省略するなら【従属節】の中の I を省略します。
省略した文を書いてみますと、
When heard the news, I was surprised.
となりますが、単に省略しただけでは「heardのS (主語) がないじゃないか!」ということになってしまいます。そこで「S (主語) を省略したよ」ということを示すために動詞にingをつけるのです。そうすると本当の動詞じゃなくなりますし、S (主語) が省略されたということがわかるわけです。
heardはhearの過去形ですから、まずhear (原形) に戻し、それにingをつけます。すると、
When hearing the news, I was surprised.
となります。この文を訳すと「そのニュースを聞いた時、私は驚いた」となります。
けれど、これでもまだもっとスッキリさせることができます。たとえば「そのニュースを聞いて、私は驚いた」とすると少しスッキリさせることができますね。つまり、わざわざ「時」と言わなくてもわかるので、「時」という語句(When)も省略できるのです。
そうすると、whenを省略し、最初の文字を大文字にすると、
Hearing the news, I was surprised.
となります。
分詞構文②(受身文の分詞構文)
次は受身文の分詞構文です。作り方は先ほどの基本型とほぼ同じです。
次の英文を見てみましょう。
When it was seen from here, the island looked like a bird.
「それがここから見られると、その島は鳥のように見えた」
最初の「それ」は何を指すのかというと、後ろの「その島」を指しています。日本語でも指示語が後ろを指すことだってありますよね。
(例)「こんなこと言うのも申し訳ないが、私はどうしても賛成できない」
最初の「こんなこと」の指す内容は前にはありません。「こんなこと」とは後ろの「私はどうしても賛成できない」という内容を指しています。
さて、もう一度英文に戻ります。
When it was seen from here, the island looked like a bird.
この英文のit は後ろのthe island と同じものですね。
ということは、従属節のS(主語)のit は省略しても良いですね。
そしてS(主語)を省略したことを示すためにwas という動詞にing をつけるのでした。
ここまで出来上がった英文は
When being seen from here, the island looked like a bird.
「ここから見られると、その島は鳥のように見えた」
ところでbeing についてですが、そもそもbe 動詞には特に意味はなく、「イコール」を表す程度のものでした。だったらなくてもいいのではないかということで、being も省略してしまうことができるのです。なお、接続詞も前後関係から「時」と言わなくてもわかる場合には省略可能でした。そこで最終的に出来上がった英文は
Seen from here, the island looked like a bird.
となります。過去分詞から始めていいの?とよく聞かれますが、最初にお話ししたように、分詞構文とは、分詞で始まる文のことでした。過去分詞だって分詞ですから、過去分詞から始めてもいいのです。
分詞構文③(時制のズレ)
ここでは「時制のズレ」ということについてお話しします。この内容はいずれお話ししていく【不定詞】,【動名詞】,【助動詞】にも使える内容です。こうした項目を学ぶことで、英文法には大きなストーリーがあるということを知ってもらえたらなぁと思います。
さて、この時制のズレとは何なのかについてお話しする前に、次の英文を見てみましょう。
Because she lived in America, she can speak English fluently.
「彼女はアメリカに住んでいたので、英語を流暢に話せる」
今回はこの英文の分詞構文を作ろうということなのですが、先ほどお話しした2つの分詞構文の英文と何か違うことに気づきませんか?
先ほどまでの分詞構文①,②で挙げた例文を並べてみると
① When I heard the news, I was surprised.
② When it was seen from here, the island looked like a bird.
従属節の中の時制も主節の中の時制も同じ過去形ですね。
ところが今回は
Because she lived in America, she can speak English fluently.
従属節の時制は過去形,主節の中の時制は現在形になっていて、時制がズレています。
これをこのまま同じように従属節の動詞にing をつけただけでは
Because she lives in America, she can speak English fluently.
を分詞構文にした
Living in America, she can speak English fluently.
と区別がつかなくなります。
そこで、従属節の時制が過去に1つズレているということを示すために、従属節の中の動詞を一度 have p.p. の形に変えて、それに ing をつけることで分詞構文にします。
出来上がった英文は
Having lived in America, she can speak English fluently.
となります。こうすると、having lived はcan speak よりも前のことだな、とわかるのです。
分詞構文④(否定語の位置)
否定文にはいくつかの形があり、否定語の位置は少しずつ違います。
I am not a student.(be 動詞の後ろ)
I don’t know what she said.(一般動詞の後ろ)
l have not seen him for a long time.(have とp.p.の間)
などです。
こうした否定語の位置は英文のパターンによって違いがありますが、分詞構文では統一されます。
Because she didn’t know what to do, she asked me for advice.
「彼女は何をすればいいのかわからなかったので私にアドバイスを求めてきた」
この文を分詞構文にするには、まずS(主語)が一致しているので
① 従属節の中のS (主語)を省略
② 動詞にing をつける
③ 接続詞を消去
これはこれまでと変わりません。
not はどうするのかというと、ing がついている単語の前に置きます。
すると、
Not knowing what to do, she asked me for advice.
となります。
これはhaving p.p.の時でも変わりません。
Not having known the fact, I was confused.
のようになります。
ついでに次のLessonで【to 不定詞】という項目を学びますが、そこでも否定語の位置は同じく not to do… となります。形は変われど、もともと動詞だったもの同士、考え方は同じなんですね。
分詞構文⑤(独立分詞構文)
基本型はこれで最後です。この最後のパターンは「独立分詞構文」といって、なんだかイカツイ名前になっていますが、内容はそれほどでもありません。
これまで分詞構文を作るときには、「Sが同じときは従属節のSを省略」としてきましたが、今回ここでお話するのはSが同じでないときはどうするのか、ということです。
たとえば次の英文を見てみましょう。
As it is Sunday today, I can’t withdraw money from the bank.
「今日は日曜日なので、私は銀行からお金を引き出せない」
最初のSのitは「曜日(や日付・時間・天候など)を表すために使われるもので、この場合itは訳しません。withdraw moneyは「お金を引き出す」という意味です。
さて、最初のAsはit is Sunday todayという文とI can’t withdraw money from the bankという文をつなぐ接続詞です。【接続詞+SV】を従属節といいました。接続詞がついていないSVを主節といいました。その従属節の中のSはit, 主節のSはIなので、主語が同じではありません。そういう場合はどちらのSも省略できません。
けれど、「どうしても分詞構文が使いたいんだ!」という場合には分詞構文にすることができます。Sはそのままにして、動詞の時制が同じであることを確認して(時制が同じでなければ分詞構文③のパターンで動詞をhave p.p.の形にしてから)従属節のVにingをつけます。そして接続詞も消去します。
これで分詞構文の基本パターンは終わりです。
まとめ
これまでの分詞構文を作るときの流れをまとめておきますね。
① 従属節の中のS (主語)を省略(Sが同じでなければSはそのまま)
② 動詞にing をつける
③ 時制がズレている時は、動詞をいったんhave p.p. の形にしてからhaving p.p.
④ 接続詞を消去
⑤ notはingがついている単語の前に置く
これで基本的に分詞構文と呼ばれるものは自分で作れるようになりますよ!