もともと動詞だったけれど、本当の動詞じゃなくなったものを【準動詞】といいます。そんな【準動詞】には、【分詞】, 【不定詞】, 【動名詞】の3つがあります。今回はその中の【分詞】についてのお話です。
2種類の分詞
分詞には2種類あります。【現在分詞】と【過去分詞】です。それぞれどんな時に使うのでしょう?
現在分詞はdoにingをつけて、doingの形になっているものです。たとえば次の英文を見てみましょう。
He is studying English.「彼は英語を勉強している」
現在分詞は現在進行形という時制で使われ、「~している」という意味になります。
過去分詞は動詞の形が変化して、たとえばstudyならstudy【原形】, studied【過去形】, studied【過去分詞】となります。doならdo【原形】,did【過去形】, done【過去分詞】と、動詞によっては単にedをつけるだけではないものがあります。たとえば次の英文を見てみましょう。
The house was built by him.「その家は彼によって建てられた」
過去分詞は受身文で使われ、「~されている」という意味になります。
ただし、過去分詞自体には過去の意味はありません。
English is spoken in many countries.「英語は多くの国で話されている」
これは現在のことですね。
現在分詞 … doing ~「~している」(現在進行形の時に使われる形)
過去分詞 … ~ed「~されている」(受身文の時 or have p.p.の時制で使われる形)
分詞の働き
先ほどお話したように、分詞とは「もともと動詞だったのですが、動詞でなくなったもの」です。では、何になったのでしょう。
たとえば、interestingという現在分詞で考えてみましょう。「面白い;興味深い」という意味で知っている人も多いかと思いますが、実はこれ、interest「興味を持たせる」という動詞にingをつけた現在分詞なのです。
さて、このinterestingという現在分詞はどんな形で使われるか見てみたいと思います。
① This is an interesting book.「これは面白い本です」
② This book is interesting.「この本は面白い」
どちらも同じinterestingを使い、そしてどちらの文もほとんど同じ内容の英文ですが、それぞれのinterestingはその働き(役割)が違います。
① This is an interesting book. の interesting はbook「本」という名詞に意味がつながっています。つまり、名詞に意味がつながる形容詞(⇒ Lesson1 品詞も参照)になっています。
② This book is interesting. の interestingは、後ろに意味がつながる名詞がありません。これはSVCの第2文型で、interestingはC (補語) になっています。(⇒ Lesson4 文型(2) SVCも参照)
そこで、これまでで分詞には2つの働き(役割)があることがわかります。
① 名詞を修飾する
② C (補語) になる
さて、名詞を修飾したり、C (補語) になるということはどういうことを意味するのでしょう。
名詞を修飾するのを形容詞といいますが、たとえば「面白い本」の「面白い」は形容詞で、「本」=「おもしろい」という関係、つまり、名詞とイコール関係が成り立つということなのです。
C (補語) というのはLesson4でお話したように、S=Cの関係が成り立ちます。Sになるのは名詞だけでしたから、S=Cの関係が成り立つということは、これも名詞とイコール関係が成り立つということになるのです。
つまり、分詞の働き (役割) は名詞とイコール関係になるといえます。
分詞構文
分詞の働き (役割) には名詞とイコール関係が成り立つ、つまり、形容詞の働きがあると先ほどお話しました。実はさらにもう1つ、【分詞構文】というものがあり、それを見ると、副詞の働き (役割) もあるということがわかります。これらは解説が少し長くなるので、次のLesson11でお話しようと思います。
感情を表す分詞(分詞形容詞)
ここでは感情を表す動詞というのは surprise「驚かせる」, bore「興奮させる」, excite 「ワクワクさせる」といった動詞です。これらの動詞には1つ大きな特徴があって、それは全て他動詞で、目的語に人がくる、ということです。
surprise 人「人を驚かせる」
bore 人「人を退屈させる」
excite 人「人をワクワクさせる」
例えば上の動詞は次のように使います。
The news surprised us.「そのニュースは私たちを驚かせた」
The book bored me.「その本は私を退屈させた」
The game excited us.「その試合は私たちを興奮させた」
日本語としては少し不自然な感じがしますね。
The news surprised us.「そのニュースは私たちを驚かせた」は「私たちはそのニュースに驚いた」と言った方が自然な日本語になると思います。では、The news surprised us.を「私たちは」を主語にした受身文(私たちはそのニュースに驚いた)を作ってみましょう。
ここで注目したいのが、wereの後ろがsurprised (過去分詞) になっているということです。were (be動詞) の後ろですからC (補語) とすることもできるはずです。
上でお話したように、分詞の働き (役割) に C (補語) になるというものがありました。SとCの間にはイコール関係が成り立つので、We「私たち」= surprised「驚かされた」の関係が成り立ちますね。
感情を表す動詞は目的語に人がくるという性質があるので、受身文を作ると必ずSに人がきます。そうすると、必ず【人 be p.p. 】の形になります。そこで【人 = p.p. 】の関係が成り立つわけです。
さて、理屈ばかりでは退屈だと思いますので、少し問題を解いてみたいと思います。人とイコールになるのはp.p.、そして人以外のモノとイコールになるのはdoingと考えてください。なお、一部例外あり!というのは下の4の問題に関するものです。
4のHe is really boring. と He is really bored. の違いですが、boringは彼が「退屈させるような人(→退屈な人間)」という意味で、boredは彼が「退屈させられている人」だから「彼は本当に退屈している」という意味になります。
この考え方は感情を表す動詞の現在分詞・過去分詞についてのみ当てはまります。
まとめ
分詞は動詞が本当の動詞じゃなくなったもの。では何になったのかというと、動詞が形容詞やC (補語) の役割をしているということです。
その中で、特に感情動詞と呼ばれるものは、目的語に人が来ますから、その目的語になる人を主語にした受身文を作ると、人= p.p. の形になります。また、その反対に、モノが主語の場合には、モノ = doingの形になります。
慣れると文法問題などは1問につき数秒で解くことができます。いずれ問題演習もしてみますね。